
MARKETや街で今気になる人に話を聞く「PEOPLE」第8回は、MARKETでの人気はもちろん、鶴舞公園内にオープンしたお店も連日行列が絶えない「菓子店 kinari」店主の酒井優希さんにお話をうかがいました。

― いつぐらいからお菓子づくりに興味を持たれたのでしょうか?
優希さん(以下:優希)幼少期からパティシエになることは、ずっと変わらない私の夢でした。とはいえ、昔は甘いものは嫌いだったんですけどね(笑)
― 甘いものが苦手だったのに、パティシエになりたかったのですか?
優希:そうなんです。母に「誕生日ケーキいる?」と聞かれても「いらない」と答えるような子どもでした。反対に弟と妹は大の甘党で、美味しそうにケーキを食べるのが、子どもながらに不思議でしょうがなかったのをよく覚えています。母はよく私たちにお菓子を作ってくれていたのですが、いつからか私も母と一緒にお菓子を作るようになりました。私は食べないんですけどね(笑)

― お菓子を食べるより、作ることが好きだったんですね(笑)
私の作ったお菓子を弟と妹が美味しいって満面の笑顔で食べてくれるんです。それがとても嬉しくて、いつの間にかお菓子作りが大好きになり、パティシエを目指すようになりました。
― ちなみに、今もお菓子や甘いものが苦手だったりするのですか?
優希:今では昔に比べ、甘いものは食べられるようになったのですが、チョコレートだけは苦手ですね。実は、kinariでチョコのメニューはバレンタインのある冬だけなんです(笑)そんな幼少期を経て、本格的にパティシエになるため、高校を卒業後、名古屋の製菓専門学校へ通うようになりました。

― 学生時代にケーキの大会で金賞を受賞されたとお聞きしました。それはどんな大会だったのですか?
優希:ジャパンケーキショーという日本で1番大きいケーキのイベントがあるのですが、その中の細工菓子の部門で優勝しました。細工菓子とは、飴細工などを使って製作される展示・観賞用のお菓子のことを言います。私は「秋」をテーマに1か月ほど時間をかけて製作し、名古屋から会場のある東京まで崩れないようにそ〜っと新幹線で持って行ったのがいい思い出です。とりあえず無事に運ぶことが何よりもの目標でしたね(笑)
― 東京まで手運び・・・。想像するだけでドキドキしますね。
優希:製菓学校を卒業後は、将来自分のお店を持ちたいという夢もあったので、勉強も兼ねて、個人でやられている名古屋の老舗ケーキ屋さんへ就職をしました。同じような老舗の店を3店舗ほど勤め、どこもアットホームで素敵なお店でしたが、働く中で現実も見えてきてしまいました。個人でお店をやるということの大変さや、どれくらい初期費用がかかるのか、お菓子作り以外の事務や経理も自分自身で行わなければならないことの大変さなど。当時の私にはその現実が重すぎて、個人でお店をやることは難しいと感じてしまいました。


梱包作業やラベル貼りなど、お店をオープンするまでの作業がいっぱいです。
― お店を運営する大変さを知ったのですね。そこから今、お店を持つようになった経緯や思いを教えてください。
優希:老舗のケーキ屋さんで現実の厳しさや大変さを知り、これからどうしようかと考えてた頃、ぞうめし屋が名古屋に新しくできるという噂を知ったんです。ぞうめし屋の存在は以前から知っていて、気になったので思い切って連絡してみました。すると、話がとんとん拍子に進み、アルバイトとして働かせていただけることになりました。
― ぞうめし屋さんではどんなことをされていたのですか?
名古屋にできた喫茶ゾウメシはレトロな喫茶店のような雰囲気でした。そこで私は、看板メニューのクリームソーダやプリン、月替わりで3種類出てくるスイーツの監修をしていました。その流れでマーケットなどの出店のお手伝いもさせていただくようになりました。この経験こそ、今に繋がっています。

― マーケットなどの出店がお店を持つきっかけだったのですか?
これまで私の中では、独立するからには、実店舗を持つことは必要不可欠なんだと思っていました。でも、マーケットで店舗を持たずに活動されている方の存在を知った時に「あ!お店がなくてもお菓子屋さんってなれるんだ!マーケットいいじゃん!」って。一気にハードルが下がるとともに、自分のお店を持つという夢が再燃してくるのを強く感じました。
― MARKET出店は、実際にお店を持つことに比べたらハードル低いですもんね。
優希:それがきっかけとなり、ぞうめし屋のアルバイトを続けながらkinariとしての活動もはじめるようになりました。SOCIAL TOWER MARKETをはじめ、いろいろなマルシェやイベントなどに出店するようになり充実していたのですが、やっぱり自分のお店を持ちたい、独立してみたいという強い思いがあり、3年働いたぞうめし屋を辞めることを決意しました。「これからは、kinariとして、まずはマーケットとオンライン販売を主軸に活動していくぞ!」って。で、そのタイミングで妊娠がわかったんです(笑)


季節の果物を使ったケーキは、午前中に売り切れてしまうことも多いそう。
― いろいろタイミングが重なりますね。計画は一時中断されたのですか?
優希:いえ、何とかなるかなって。体力には自信があるタイプなんですよね。お客さんには「産んで半年くらいはお休みするのかな?」と言われていたのですが、1ヶ月後には復帰して、SOCIAL TOWER MARKETにも出店しました。
― 2022年春に出店いただいたのは、そんなタイミングだったのですか。まったく気づきませんでした。あの時もすごい行列でした。
本当は安静にしなければならないのかもしれませんが、私は動きたくてしょうがなくって(笑)なので、出産してしばらくは、当初の予定通りマーケットとオンラインでの活動を。それでも頭の中に、いつかは自分のお店がほしいなっていう思いはずっとありましたね。お店があればどこでも良かったわけではなく、緑のあるお店を探していたんです。そして、知り合いから、四季の変化も楽しめる、今のこの場所を紹介してもらい、念願だったお店を持つ夢がついに叶いました。


― 窓から緑がたくさん見られて、kinariさんらしい素敵な場所ですね。
優希:でも、お店ができたタイミングで、今度は夫の単身赴任が決まりました。小さい息子と二人、ワンオペで育児をしながらお店をやっていくことに・・・。当初はもちろん不安が大きかったですね。でも今、まわりやスタッフの助けも借りながら、大変なこともありますが、毎日を楽しく過ごしています。
― 子育てしながらお店も運営するバイタリティがすごすぎます。もしよければ、1日のスケジュールを教えていただけますか?
優希:朝はいつも6時に起きます。そして、息子と自分の用意を済ませて7時10分には家を出ますね。息子を保育園に送迎し、8時に出勤。11時までにケーキの仕込みなどを行います。お店の営業は17時まで。片づけをして17時50分にはお店を後にします。保育園のお迎えのリミットがあるので、この時間は大切です(笑)18時半に帰宅し、ご飯を作ったり息子をお風呂に入れたり、21時半には寝かしつけを行います。オーダーケーキなども承っているのですが、その連絡は20時から。寝かしつけが終わり次第、時間を決めて行っています。22時以降は連絡をしないようにしていますね。自分の時間も大切なので。
― 休む暇ないですね。要領よくこなせるコツなどあれば教えてください。
優希:メリハリでしょうか。私、手を抜くところはしっかり抜きます(笑)たとえば、息子はおもちゃをすごく散らかします。どれだけ片づけても、次の瞬間にはおもちゃが散乱。それならもう、おもちゃを片付けるのは余裕のある時だけでいいやって諦めちゃって。割り切りです(笑)あと、保育園からの急な連絡で、息子のお迎えなどが必要なときは、両親にも助けてもらっています。ありがたいですね。子育てしながらの仕事は、もちろん頭を抱えそうになることもあります。でも、それ以上に、息子には沢山笑顔にしてもらっているんです。彼はクセが強くて面白いんですよ!かけがえのない大切な存在です。

― 大変なこともあると思うのですが、そういう状況も楽しまれていて素敵ですね。
優希:息子ももうすぐ3歳になります。誕生日には、オリジナルでピカチュウのホールケーキを作ろうかなって作戦を立てています。喜んでくれるかな〜って。
― 個別にオーダーケーキの注文を受けられていますが、大変ではないのですか?
優希:オーダーケーキの製作はとても勉強になるんですよね。基本的に、お客様のアイデアをベースに作成しています。なので「あ、こういうのもありなんだ!」ってインプットが多いですね。もちろん、お客さんの笑顔も嬉しくて、オーダーケーキの製作はこれからもずっと続けていきたいです。
― いつかぜひお願いしたいです。ケーキの開発などで大切にされていることはありますか?
優希:そうですね。まず、季節のものを使うのは大切にしています。kinariのお店の窓から季節を楽しんでもらえるように、シーズンごとにケーキのラインナップはもちろん変わります。あと、これは私のジンクスでもあるのですが、基本的に新作のケーキを作るための試作は1回です。日頃からインスピレーションを大事にしていて、それを1回で形できると、人気商品になるんですよね。

完成したケーキは、こちらのいい光が入るこの場所で撮影され旅立っていきます

― これからも優希さんのインスピレーションから生み出されるお菓子やケーキ楽しみにしています。今後の目標や夢などはあったら教えてください。
優希:いつか一軒家のカフェを建てたいです。季節を感じることができる緑いっぱいの庭付きのお店で、お庭も自由にいじりたいです。自分の目の届く範囲で、ゆるゆる楽しくできたら最高ですね。

― ありがとうざいます。それでは最後に名古屋でよく行くお店があればを教えてください。
優希:覚王山のfika.です。製菓学校の学生時代から通っているのですが、ずっと憧れのお店です。あと、よ〜く行くところですと、間違いなくイオンです。息子と一緒によく行きます。ちょっと日常的すぎましたかね?(笑)
菓子店 kinari
愛知県名古屋市昭和区鶴舞1-1-169ツルマガーデンA12
◎Instagram
※営業日は公式インスタグラムでご確認ください
→「PEOPLE」掲載リスト一覧を見る
Text:Hiyori Sakakibara(THE SOCIAL)
Photo:Eri Yamamoto(THE SOCIAL)
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